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私のキャリアプラン

山本 誠

山本 誠
ヤマハ株式会社 
人事部健康安全グループ 産業医

略歴

2004年3月 産業医科大学医学部卒業
2006年3月 臨床研修修了(川口市立医療センター)
2006年6月 新日本製鐵株式会社君津製鐵所 産業医修練医
2007年4月 産業医科大学産業生態科学研究所労働衛生工学研究室 専門修練医
2009年6月 ヤマハ株式会社 産業医
2012年3月 博士(医学) 産業医科大学 博医乙第395号
  現在に至る

資格

  • 日本産業衛生学会 産業衛生指導医
  • 社会医学系指導医
  • 医学博士
  • 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
  • 産業医科大学産業生態科学研究所労働衛生工学研究室 非常勤講師
  • 産業医科大学 ストレス関連疾患予防センター 特命講師
  • 静岡産業保健総合支援センター 特別相談員
  • 厚生労働省 化学物質の健康診断に関する専門委員会 委員

現在のお仕事について教えて下さい(業務内容や日々のお仕事中の様子など)。

 楽器メーカーのヤマハで専属産業医をしています。業務内容は、自社で行う一般定期健康診断や特殊健康診断の診察、週1日内科外来もしています。また近隣の製造工場に週1回出向いて、職場巡視や安全衛生委員会への出席、職場復帰面談なども実施しています。
 近年では国内グループ各社の産業保健活動のサポート業務として、嘱託産業医の先生方や外部EAP機関のカウンセラーさんと連携して事例対応等を行っています。
 また日本産業衛生学会産業医部会主催の研修会である産業医プロフェッショナルコース(Pコース)の企画運営や、母校である産業医科大学の産業医向け研修会の企画、産業保健関係者向けのWeb研修会の講師も務めています。

学生時代についての思い出(例:所属サークル)や当時考えていた将来の方向性、産業衛生の道を志した時期(年齢・年代)やきっかけについて教えて下さい。

 大学時代はヨット部に所属していました。医科大学の大会で銀メダルを取ったり、大会の主管校を経験したりと貴重な体験をしました。部活の仲間やOB・OG、一緒に活動していた社会人ヨットの方々と一緒に活動する中で培ったコミュニケーション力は今でも役に立っていると思います。
 私はサラリーマンの子弟でしたので、独り立ち出来るように自分の専門性を高めたいという思いがありました。部活OBの先生の産業医活動を見学し、多くの従業員の健康管理ができることに魅力を感じ、医学部6年生の春頃に産業医の道に進むことを決めました。

新人時代の思い出について教えて下さい。

 産業医科大学の卒後5年間の修練過程に所属し、2年間の臨床研修終了後、新日本製鐵株式会社君津製鐵所(当時)で1年間産業医の修練をしました。指導医の宮本俊明先生、加藤憲忠先生から、産業医のイロハから倫理まで多くのことを実地で学びました。
 卒後4,5年目は産業医科大学産業生態科学研究所の労働衛生工学研究室に所属し、銀行業、旅客鉄道業、小売業の嘱託産業医を経験しつつ、田中勇武教授(当時)の元、新規化学物質の生体影響について研究しました。この時培った研究者マインドは、本質を見抜く力や論理的思考力など、専属産業医として活動する際にとても役立っています。

人生における転機やキャリアプランに関わる大きな出来事がありましたら教えて下さい。

 専属産業医となり、長女が6歳、長男が4歳の頃、妻が手術で2週間入院しました。会社の時短勤務制度を活用して、1日6時間の勤務をしつつ、幼稚園のお弁当作りを始め、家事全般もこなす生活でした。仕事への影響が出ないように、スケジューリングを工夫しました。幸い手術は成功し、今は妻も元気に仕事をしています。
 この経験から得た良い点が2つありました。1つはメリハリをつけた仕事時間の使い方が出来るようになったこと、2つ目は晩ごはん作りが自分の趣味になりました。家にいる時間が増えて妻や子どもたちとの関係も良好で、ワークライフバランスが取れた生活が出来ています。

転機を越えた後の新たなキャリアにおける思い出を教えて下さい。

 前述の産業医部会が主催するPコースに参加し、今では事務局の一人になったことです。研修会では、講師と参加者が一体となって、過重労働対策やストレスチェック、メンタルヘルス対策、健康経営など、拡大する産業医活動の課題を解決するために議論しました。
 研修会を通じて得たものは2つあります。1つ目は多くの産業医の先生方との人脈を作ることが出来たこと、2つ目は多くの課題解決に共通する産業医としての姿勢を学べたことです。「仕事と人の適応を考える」、「中立性」、「自律性」など、自社での活動で迷った時に、これらのキーワードが自分自身の支えになりました。

本学会との関わりやメリットについて教えて下さい。

 日本産業衛生学会には専門医制度があります。専門医試験は非常に厳しいものですが、当時の指導医だった東敏昭先生とのディスカッションや、一緒に受験した大学の同級生との勉強会を通じて、自社だけでなく産業保健全体の知識を深めることが出来ました。
 また、学会での一般演題発表を通じて、論理的思考力やプレゼンテーション力が身につきます。さらに自社の活動内容が評価され、学会のグッドプラクティスに2回推薦、登録させていただきました。学会での評価を社内にフィードバックすることで産業保健活動に携わる同僚のモチベーションアップや産業保健組織の社内評価向上にも繋がりました。

これから産業衛生の道を志す方々に向けて、メッセージをお願いします。

 メンタルヘルス対策や健康経営、化学物質管理、感染症対策と、産業保健には取り組むべき課題が増えており、産業保健職は常に知識をブラッシュアップすることが求められます。
 日本産業衛生学会での活動や産業保健職同士の勉強会などを通じて、新しい知識はもちろん、活動の中心となる産業保健職としての倫理や考え方が身についてくると思います。
 産業保健の現場で働くと、医療機関とは異なる仕事のやり方に悩むことがあるかもしれませんが、研修会等を通じて知り合った身近な産業保健職との会話から、解決の糸口が見つかったことが多かったと思います。 多くの皆様の産業保健へのご参加をお待ちしております。

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